人身傷害補償保険
- 自由化以降、一般的になった新商品が「人身傷害補償保険」。1998年から保険会社各社によって販売されております。「完全補償タイプ」といった名称で、この保険をセットして販売するようになっています。
- 「完全補償タイプ」などと言われると、これまでの保険は不完全だったのかと心配になってしまいますが、たしかに従来型セット保険(SAPやPAP)では、どうしても埋めきれない部分があったのは事実です。なぜなら、交通事故でケガをしたり死亡しても、その本人に過失がある場合は、その割合に応じて保険金を相殺(減額)されてしまうからです。
たとえば、Aさんが事故を起こして重傷を負い、5,000万円の損害が発生したとします。この事故の過失は、Aさんに4割、相手に6割あると判断されました。この場合、5,000万円のうち4割分を差し引いた3,000万円が相手から支払われますが、残りの2,000万円はAさんの自己負担となります。人身傷害補償保険をかけていれば、このようなケースでも、Aさんは自己負担なしで全額受け取れるというわけです。
また、追突や信号無視、センターラインオーバーなど、一方的な事故を起こした場合、その行為をしたドライバーの過失は基本的に100%と判断されるため、相手のクルマの自賠責からはもちろん、その上乗せとなる任意保険からも保険金がいっさい支払われないことがあります。相手に過失がないということは、結果的に自損事故と同じ扱いになってしまうからです。
人身傷害補償保険は、このような事故でも、ケガによる治療費、休業補償、慰謝料などの損害を契約した保険金額を限度に100%補償してくれます。つまり、過失の大小に関係なく、自分の契約した保険会社から損害賠償金を受け取ることができるのです。
保険の対象となる範囲も幅広いので安心です。契約者とその家族が、契約自動車に搭乗中はもちろん、他の車に搭乗中、または歩行中の事故でも、この保険の対象となります。また、通常は相手方との示談が成立してからでなければ保険金を受け取ることは出来ませんが、人身傷害補償保険の場合、契約している保険会社の支払い基準にしたがって、示談の結果を待たずに保険金を受け取ることも可能です。
保険料は従来型と比べて若干高くなりますが、人身傷害補償保険をかけておけば、過失割合による減額や、示談のトラブルを未然に防ぐことが可能です。「完全補償」という表現も決してオーバーではないでしょう。
※特約については、その内容が保険会社各社によって異なる場合があります。詳細については、該当商品の約款等で必ずご確認ください。