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自動車保険の基礎知識

無保険車傷害保険

任意保険未加入車との事故に備える保険
任意保険加入はドライバーの常識、と言いたいところですが、現実はそうではありません。実は、任意の対人賠償保険への加入率は、公道を走るクルマ全体の約7割、任意の自動車共済を含めても約85%にすぎません。つまり、10台のうち1.5台までが任意の対人保険に加入していないのです。この15%のクルマが死亡事故を起こしたら、自賠責保険の限度額である3,120万円(死亡と死亡にいたる傷害までの保険金を合算した金額)までしか支払い能力がないということになります。

「無保険車傷害保険」は、こういった無保険車と事故を起こした場合に備える保険です。契約車に乗っている人が、他車との事故で死亡または後遺障害を被ったとき、相手に損害賠償を請求できるにもかかわらず、相手のクルマが対人賠償保険をつけていない「無保険車」のために十分な補償が受けられなければ、この保険から賠償金が支払われます。保険金額は自分の契約している対人保険と同じ金額ですが、無制限で加入している場合は、2億円が上限となります。

ちなみに、この保険の支払い対象となる「無保険車」とは、次の4つの場合が考えられます。
  • 任意の対人保険がついてないクルマ。
  • 対人保険はついているが、運転者の故意や泥棒運転、年齢条件や家族限定特約の条件に違反しているなどの理由で保険がおりない場合。
  • 対人保険はついているが、その保険金額が被害者の損害額を下回る場合。
  • ひき逃げなどで加害者が特定できない場合。
冒頭でも書いたように[1]の条件にあてはまる乗用車だけで、全体の15%を占めるのです。さらに死亡事故では[3]のケースが現実になることも往々に考えられます。また[4]のケースでは、加害者が見つからないかぎり、被害者は泣き寝入りとなってしまいます。こういったクルマと事故に遭った場合に頼りになるのが無保険車傷害保険なのです。
保険の種類によって補償範囲がこんなに違う
無保険車傷害保険は、SAPやPAPのほか、各社が出している完全補償タイプのセット保険を契約すれば自動的についてくるものですが、セット保険の種類によってその担保範囲が大きく異なるので注意が必要です。

まずPAPでは、被保険者やその家族が、保険契約しているクルマに乗っている場合にのみ、支払いの対象となります。これが車両保険つきのSAP以上のクラスになると、保険を契約したクルマに乗車中の事故はもちろん、他のクルマに乗っているときや歩行中、2輪車や自転車に乗車中の事故についても対象となります。

たとえば、高速道路の路肩でパンクしたタイヤを交換しているときに無保険車にはねられたようなケースだと、PAPでは支払いの対象になりませんが、SAPならOKです。また、子供が通学中にひき逃げされて加害者が見つからないような場合も、SAPなら保険金が支払われます。

実際に、SAPの無保険車傷害保険に救われた被害者は少なくありません。無保険車との事故という最悪の事態も考慮して保険選びをすることも大切です。

※特約については、その内容が保険会社各社によって異なる場合があります。詳細については、該当商品の約款等で必ずご確認ください。

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