対人賠償保険
- 自賠責の不足分をカバーしてくれるのが対人保険
- 法律で加入が義務付けられている自賠責保険の支払い限度額は、死亡事故の場合3,000万円、重度後遺障害の場合4,000万円(2002年4月1日以前の事故は3,000万円)、ケガの場合は120万円と決められています。ところが、死亡事故や重傷事故を起こしてしまった場合、これらの限度額をはるかに超える億単位の賠償額になることも珍しくありません。もし、任意の対人保険に加入していなければ、自賠責のオーバー分はすべて加害者本人が払わなければならないわけですが、万一、死亡事故を起こして1億円を請求されたとき、あなたには残り7,000万円の支払い能力があるでしょうか? 被害者に十分な償いができるでしょうか?
「対人賠償保険」は、そんなときに力を発揮してくれる保険です。歩行者、同乗者、または他のクルマに乗っている「他人」を死亡、負傷させて法律上の損害賠償責任を負った場合、自賠責保険から支払われる保険金額をオーバーする部分について支払われます。
加害者がこの保険に加入していなかったため、十分な賠償を受けられずに苦しんでいる被害者や遺族は少なくないのが現状です。対人保険は自動車保険の中でもっとも重要な保険だといっても過言ではありません。万一のために、できるだけ「無制限」でかけることをおすすめします。
- 払い対象はあくまでも「他人」
- 対人賠償保険の支払い対象は、あくまで「他人」です。ここでいう「他人」とは、「被保険者(保険の対象となる人)」以外の人のことで、「被保険者」は対人賠償の対象にはなりませんので覚えておきましょう。基本的に、契約者の配偶者や子供、同居の親族は被保険者となります。
たとえば、マイカーでドライブにでかけ、中央分離帯にぶつかるという単独事故を起こした場合、この事故で助手席やリアシートに乗っていた妻や子供がケガをしても、そのクルマの対人保険金はおりません。また、駐車場に立っていた自分の子どもを父親がはねてしまったようなケースも同じです。保険契約者の家族は、「被保険者」であり、「他人」ではないため、被害者が免許を持っていない小さな子供であっても保険の対象外となるのです。
また、自分のクルマを友人に運転してもらっているときに事故を起こし、助手席に座っていた自分も運転していた友人もケガをしてしまったような場合はどうなるでしょう? この場合、友人は「被保険自動車の運転者」なので支払いの対象外、もちろん自分自身も「記名被保険者(保険を申し込んだ契約者)」なので、対人保険の対象にはなりません。もし、リアシートに友人がもう1人座っていてケガをした場合には、その友人は対人保険の対象となり、保険金が支払われます。
また被保険者の許可のもとにクルマを使用している人も被保険者の範囲に含まれます。対人保険における「被保険者」の定義をよく理解していないと、イザというときに「そんなはずじゃなかった……」ということになりなかねません。しっかり頭に入れておきたいですね。
※特約については、その内容が保険会社各社によって異なる場合があります。詳細については、該当商品の約款等で必ずご確認ください。